未使用車、新古車
車探しをしていると、このような見慣れない言葉に出会うことがあると思います。
簡単にひとことで言えば、「表向きは中古だけど、実質的には “ほぼ” 新車」のことです。
表向きや、なにが “ほぼ” なのか?に引っかかると思いますので、以下より詳しく説明しています。
未使用車(新古車)の意味とは
以前は「新古車」
まず未使用車(新古車)の意味を説明する前に、新車と中古車の定義を説明します。
新車と中古車のもっとも大きな違いは、ナンバープレートの有無です。
ナンバープレートが付いていれば(登録されていれば)中古車、されていなければ新車です。
- ナンバープレートあり → 中古車
- ナンバープレートなし → 新車
走行距離や状態、発売時期などは一切関係ありません。
しかしながら、ナンバーは付けられている(=登録済み)ので分類上は中古車にもかかわらず、誰にも一度も乗られてない(=未使用)新品同様のクルマが存在します。
こんなクルマを以前は「新古車」と呼んでいました。
いまは「未使用車」
ただし、現在は「未使用車」と呼ぶことが一般的です。
なぜならクルマ業界の健全な発展のためにある自動車公正取引協議会によって、新古車という言葉は禁止されたからです。
「新古車という表現は新車なのか中古車なのかわからない、誤解を与える」という不当表示の恐れがある理由から、未使用車に統一されたのです。
現在の適正な表現方法によって、改めて厳密に定義すると「ナンバープレート登録(届出)済未使用車」ということです。
つまり、新古車=未使用車
時期によって適正な呼ばれ方は違いますが、「新古車=未使用車」であり、どちらも意味は同じです。
※厳密には「新古車」という表現は使ってはいけないのですが、いまでも一般的によく使われる言葉ですので、当サイトでは未使用車(新古車)と表記しています。
なぜ未使用車(新古車)が生まれるのか
ここでひとつ疑問が生まれるはずです。
どうしてナンバープレートが付いているのに、未使用である新品同様のクルマがあるのか?
このカラクリについては、主に以下3つの事情が理由となっています。
- ディーラーの自社登録
- 顧客のドタキャン
- 転売目的
理由1. ディーラーの自社登録
一番大きな理由がこれ、ディーラー(販売店)が登録した車が未使用車として流通します。
もう少し詳しく話します。
ディーラーには必ず、毎月のようにノルマ(販売目標)が課せられます。新車を毎月100台売るなどです。
そしてノルマ達成時にはメーカーからの報奨金があり、その他にも乗り換え促進報奨金(ライバル他社から乗り換えてもらえれば貰える報奨金)などもあります。
ディーラーにとってはこの報奨金、つまりボーナスが入れば入るだけ、その店舗や従業員たちも潤うことになるので、何がなんでもノルマ達成しようと試みます。
しかしながら月末になってもどうしても販売目標まで届かない、ノルマ達成できないかもしれない・・・という状況に陥ることはよくあることです。営業職の方なら特にわかるでしょう。
こんな時の裏技的な最終手段として「自社登録」という方法が実行されます。ディーラー自ら新車を購入し、知人や親戚などを使って名義登録するのです。
100台売れば300万円のボーナスがもらえるとします。でも今97台。このままだとボーナスはゼロ、でも3台あれば300万円。ならば自分たちで3台購入・登録して100台に届かせよう。
・・・ということです。メーカー側はこの自社登録を認めていませんが、現実的には黙認状態であると言われています。
こうして3台のおかげで無事にボーナス300万円ゲットできましたが、自社で乗らない車を持っていても無駄な在庫になるだけです。そもそもノルマ達成のためだけに使われた車です。
「ならば、この3台を売ってしまおう!新車だし!」
という背景があって誕生するのが、未使用車です。
名義登録はされてナンバープレートはついているから書類上は中古だけど、実質的には新車が生まれるカラクリはこうしたディーラーの販売事情が大きく関係しています。
私たち消費者にとっては、このカラクリで生まれた新車は狙い目です。状態は新車にもかかわらず、そこそこの値引きを期待できるからです。
理由2. 顧客のドタキャン
多いケースではないですが、購入後になんらかの事情でキャンセルされた車も、未使用車として出て来る場合もあります。
原則的には契約書に捺印サインをした時点でキャンセルは認められませんが、ディーラー側の不手際などがあった場合などには、納車直前になってドタキャンされることもあります。
これらの車もナンバープレートはついているけど、実施的には新車と変わりありません。
理由3. 転売目的
稀なケースですが、転売目的で購入された車が未使用車になることもありえます。
ヤフオクやメルカリせどりを考えてもらえれば想像しやしいですが、自分では乗る気はないのに、稼ぐために車を買っておく方がいます。
一例を出すと、超高級車であるフェラーリは納車まで平均的に1年以上かかるため、いますぐに欲しい客に対しては新車価格+200万~500万円ほどでも売れるみたいです。一瞬で数百万円の利益が生まれるというわけです。
このように転売目的で所有していたものの、有力な売却先が見つからずに困り果て、付き合いのある買取業者などに流してしまうことがあります。
未使用車(新古車)のデメリット3つ
このようにして生まれる未使用車ですが、当然のことながら、新車と比べてのデメリットがあります。
デメリット1 色やオプションは選べない
すでにナンバープレートが付いており完成している車ですので、色やメーカーオプションを自由に選ぶことはできません。
「ディーラーの自社登録」によって生まれた未使用車の場合、オプションやグレードは最低限であることが多いです。ディーラーにとっては1台にかけるコストをできるだけ抑えたいからです。
デメリット2 車検が短い
ナンバープレートが付いており名義登録されている、ということは車検期間がスタートしているということです。
普通に新車を買ったら3年間は車検期間がありますが、未使用車の場合、買ったタイミングによりますが短くなることがほとんどです。
- ディーラーの自社登録が2018年1月
- あなたの購入時期が2018年4月
だとしたら、状態的には新車ですが、車検の残り期間は2年9ヶ月ということになります。丸3年はありません。
デメリット3 多少の走行距離がある
走行距離が数km~10km前後はあることがほとんどです。
未使用車ですが、ディーラー敷地内での移動や一時保管するための倉庫への移動などで、少しくらいは車を走らせることになるからです。
未使用車(新古車)のメリット2つ
デメリットはありますが、それらを上回る大きなメリットがあります。
メリット1 安い
なによりも大きなメリットが、未使用車は安いということです。
どのくらい安いかは車種や状態にもよるので一概には言えないのですが、普通に新車を買うよりも2~3割くらいも割引されるケースもあります。
新車250万円であれば245万円~280万円くらいになる可能性もあるので、金銭的メリットは大きいです。
ディーラーとしても自社登録した車をいつまでも持っていても何の得もありません。1円たりとも利益を生まないばかりか、所有・管理コストがかかる “悩みのタネ” でもあるため、早く売却して現金化したい心理もあります。
通常の新車とは違い、私たち買い手が根切り交渉に強気に出れるので、最初に提示してきた価格よりもさらに安値にすることも可能です。
ちなみに車検の残り期間が短ければ短いほど、販売価格は安くなります。
メリット2 納車が早い
新車に比べて、未使用車は納車が早いのもメリットのひとつです。
一昔前であればディーラーは在庫を抱え、即日納車するスタイルが一般的でした。
しかしながらここ最近は、納車まで2ヶ月前後かることが普通です。ディーラーが在庫リスクを嫌っているでけはなく、多種多様なオーダーメイドが当たり前になってきたので、受注生産するしかないのです。
未使用車の場合は早ければ当日、遅くとも1週間以内には納車してくれます。
未使用車(新古車)にはどのような車種があるのか
未使用車は、どちらかというと軽自動車に多いです。その他の普通車やSUVなどももちろんあります。
各メーカーの代表的車種(メーカー/ブランド)は以下の通り。一例です。
スズキ
アルトワークス、イグニス、スペーシア、スイフト、ソリオ、ハスラー、ラパン、ワゴンR、ジムニー、エブリイワゴン、バレーノ、エスクード
ダイハツ
ウェイク、キャスト、キャンバス、ココア、タントカスタム、ミライース、ムーブ、コペン、アトレー、ブーン、トール、メビウス、アルティス
トヨタ
アクア、アルファード、ウィッシュ、ヴォクシー、クラウン、シエンタ、スペイド、ノア、ハリアー、C-HR、マークX、ヴィッツ、パッソ
日産
エクストレイル、ノート、マーチ、モコ、リバティ
ホンダ
オデッセイ、フリード、フィット、Nワゴン、Nボックス、バモス、ステップワゴン、ジェイド、ヴェゼル
マツダ
デミオ、アクセラ、アテンザ、CX-3、CX-5、CX-8
スバル
インプレッサ、フォレスター、レヴォーグ、レガシィ、XV、アウトバック
輸入車
メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェ、ボルボ、ミニ、プジョー、シボレー、テスラ、吉利(ジーリー)などなど
未使用車(新古車)の探し方・購入方法
街のディーラー(販売店)や中古車屋さんに出向いてもいいですが、各店舗が取り扱っている未使用車は限られています。
専門ネットサービスであれば日本全国から探せますので、こういったサービスを使うことで、より自分の希望にあったクルマを見つけることができます。
専門サービスから紹介してもらう
未使用車は一般人では中々見つからないので、専門サービスを通して紹介してもらうのが普通です。
未使用車や非公開車両に特化しているので、普通の新車や中古車はほとんど取り扱っていません。
定番は「ズバブーン」という非公開車両を探せるサービスです。無料&簡単な1分程度の入力で、希望にあった未使用車を紹介してくれます。
紹介してもらったクルマが気に入らなければ、全然断ってしまっても大丈夫です。もちろん一切費用はかかりません。
向こうとしても断られることには慣れており、別の新たな未使用車を探してくれます。
車検の名義変更が必要
先述の通り、未使用車はナンバープレートがすでに付いています。
ナンバープレートが付いている=車検証の名義登録もされている
ということでもありますので、未使用車を手に入れたら「車検証の名義変更」をする必要があります。
自分でやってもいいのですが、未使用車を売ってくれた販売会社が代行してくれます。
運輸局での変更手続きなどもあり、不慣れだと難しく感じる面も多いので、最初から代行依頼してしまった方が確実で安心です。
未使用車(新古車)の購入時にかかる諸費用=計10万円
未使用車はナンバープレートが付いているので、登録上では「中古車」の扱いなります。
よって、かかる諸費用も普通の中古車購入時と同じで、おおむね計10万円前後です。
消費税
車両本体価格に8%(2017年現在)上乗せされるのはもちろん、代行費用にもかかります。
自動車取得税
自動車を購入する際にかかる税金で、車両本体価格によって多少変動があります。未使用車は安いので、同税も安くなります。
自賠責保険料
自賠責保険とは「自動車損害賠償責任保険」のことで、日本国内においては必ず払わなければなりません。
この保険料を払わないとナンバーを取得できません。民間の保険会社による自動車保険(任意保険)とは全くの別モノです。
※任意保険を安くしたいなら自動車保険見積もりキャンペーンで一括見積もりして安いプランを見つけ出しましょう。
自動車リサイクル料金
廃車する際にかかる費用のことで、購入時に前もって支払う必要があります。
印紙代、ナンバープレート代
申請・登録書類には印紙が必要です。またナンバープレート取得にも事務手数料がかかります。
登録代行費用
クルマの名義人を変更登録するための手続きを、販売店に代行してもらう費用です。
一般的には10,000円~20,000円ほどです。自分でやれば節約できますが、一般素人には簡単ではありません。
車庫証明代行費用
ナンバーを取得するには、警察による車庫証明(駐車場が確保されているかの確認)が必要です。クルマを置く場所がないのに購入することはできません。
販売店に書類作成・申請を代行してもらうと、同じく10,000円~20,000円かかります。
名義人を変更登録とは異なり、こちらは一般素人でも比較的簡単にできます。最寄り警察署に行って、必要書類を指示通りに書いて提出するだけです。
納車費用
自宅まで運んでもらうための費用です。もちろん自分で取りに行けば不要になります。
整備費用
普通の中古車の場合は点検・修理などが必要ですが、未使用車の場合、状態としては “ほぼ新車” なので不要になることが多いです。
未使用車(新古車)を探す・購入する際の注意点
新車でも中古車でもない、未使用車ならではの注意ポイントです。
車検
車検の残り期間がどのくらいあるのかを確認してください。先述した通り、新車とは違い、すでに車検期間がスタートしているので3年間は残っていないことがほとんどです。
また車検証の「所有者」欄も確認してください。ディーラーが自社登録している車の場合は、所有者がそのディーラー名(運営会社名)になっているはずです。
走行距離
未使用車だとしても10kmほどは走っています。ディーラー敷地内や倉庫移動などのために使っているからです。
もし50~100km以上も走っているようなことが確認できれば、それは未使用車ではなく「試乗車」である可能性が高いです。
試乗車であれば不特定多数によって散々乗り回されているので、未使用車よりも更に安値で売られるべきです。
詳しくは展示車両(デモカー)を買う方法!試乗車との違い、メリット/デメリットは?という記事をご覧ください。
汚れや傷
念のためヨゴレや傷にも注意します。
基本的にはディーラー内や近隣倉庫にて保管されているので、目立ったヨゴレなどは付かないはずですが、ゼロとも言い切れません。
外観だけでなく、室内やタイヤまわり、ボンネットやトランクの中も開けてしっかりチェックしてください。
希望以外のクルマも
未使用車を探すのに便利な専門サービスですが、中には希望条件から少し外れたクルマを提案されることもあります。
専門サービス会社としてもビジネスなので、少しでも多くの選択肢を与え、購入してもらえるチャンスを増やすためです。
1~2つ条件外もしくは類似条件であれば思わぬ掘り出し物に出会えるかもしれませんが、あまりにも逸脱した条件のクルマを紹介してくるようであれば、いったん断りましょう。
時期的に条件にマッチする未使用車がない、ことが想定されるので、1ヶ月後などにまた紹介してもらうよう担当者に伝えてください。
最後に
未使用車は、言葉こそあまり聞き慣れないですが、分類上は「中古車」です。
状態が “ほぼ新車” なのに、新車よりも安いのでコスパがよく、お買い得感が大きいです。
まずはどのような未使用車があるのかを、チェックすることから始めてみてください。
普通には出会えないような、魅力的なクルマが見つかるかもしれません。
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